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ほっじぽっじすてーしょん

広く浅い、多趣味野郎の時事録

片隅で感想文04:『リンドウにさよならを』

こんにちは。

前回の記事で見事に燃え尽きてしまったわさびです。

やはり出来のいい作品に触れると、気合を入れた記事にしたくなってしまいますね。(内容が伴ったかどうかは甚だ疑問ですが

 

考え過ぎて沸騰しそうになる頭をうんうんと唸らせながら、なんとか記事の体裁を取ることは出来た(ように思う)のですが……。

 

如何せん疲れました!

 

それというのも、こうして記事を書くようになってから少しずつではあるのですが自分の本の読み方が変わってきたからです。

まあ、いざ「具体的にどう変わったのか!」と聞かれると多少困惑してしまうのですが、以前よりも真摯な姿勢で物語と向き合うようになってきたのかなぁ……と自分では感じています。

Twitterでボソボソと呟く程度であれば気軽に出来ますが、記事にするとなるとそれなりに熱量も使いますし……。

要するに、私の中で読書という行為に消費するエネルギーが増大したわけです。

しかし、体は正直なものでして、疲労することが目に見えているにもかかわらずひたすらに物語の摂取を求めます。

読書は疲れる、しかし物語を摂取したい……。

ではどうするか!?

 

 

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……はい。

 

 

と、いうわけで今回はライトノベルを読んでみました。

少し前に『白蝶記』(著:るーすぼーい、ダッシュエックス文庫 全三巻オススメ!)を読んで以来、読書は小説のほうに傾倒していたので久しぶりのライトノベルです。

ちなみに、ライトノベルと小説の違い』が度々話題になりますが、私個人としては所詮レーベルの違いでしかないと思っています。

ラノベは文章が拙い」、「ラノベは内容が薄い」という批判的な意見も見かけますが、そんな簡素な一言で片づけられるほどライトノベルの世界は狭くない、というのが私見です。(もちろん、そういった作品が無いわけではありませんが……)

どちらにしても面白い作品は面白いですし、つまらない作品はつまらない。

『読書』という行為に求める事柄が人によって千差万別である以上、一概には言い切れない部分はありますが、出来る限り物語そのものと真摯に向き合っていきたいものです。

もう少し踏み込むと『物語の背景に作者の思想を感じるものが小説』、『物語がその世界の中で完結しているものがラノベ』と考えていたりするのですが……蛇足ですね。

 

話が逸れました。

前振りが長くなるのが半ば恒例になってしまっている気がしますが、気を取り直しまして……。

それでは、本題です!

 

片隅で感想文04:『リンドウにさよならを』著:三田千恵

 

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            ↑リンドウの花を手にした美咲が表紙を飾る

 

前述の通り、本コーナーでは初めてのライトノベル作品となります。

今作はエンターブレイン主催の第18回えんため大賞エンターブレイン関連のライトノベル、コミック、ゲーム...etcの新人賞)ファミ通文庫部門にて優秀賞を受賞三田千恵先生のデビュー作品です。

私はTwitterファミ通文庫の公式アカウントをフォローしているのですが、そちらで宣伝されているのを見て購入した次第です。

 

まずはあらすじから。

 

密かに想いを寄せていた女子生徒、襟仁遥人を自殺から救うために身代わりとなって

死んでしまった主人公、神田幸久。

学校に取り憑く地縛霊として彼が目を覚ますと、既に二年の月日が経過していた。

自分が死んでしまった事に未練も後悔もない幸久に訪れたのは、

目的も無く、誰からも相手にされない退屈な日常。

しかしある日、クラス内で執拗ないじめを受けている女生徒、

穂積美咲だけが彼の存在に気付く。

立場は違えど、クラスの中で外れた存在である二人は次第に心を通わせていく。

少しづつ変わっていく美咲の境遇。徐々に明かされていくあの日の事件。

その先に待ちうける真実とはー。

 

 

……といったところでしょうか。

今回も極力ネタバレを避けて簡単に感想を書きたいと思います。

内容としては、主人公が地縛霊というファンタジー要素はあるものの、全体的には王道学園青春モノと言って差し支えないでしょう。

幽霊といじめられっ娘という周囲の人々から隔絶された二人が、二人だけの秘密の場所で心を通わせていくという構図は非常に甘酸っぱく、「これぞ!青春モノだ!」という気持ちになりました。

いじめられっ娘でありヒロインの穂積美咲が主人公へと惹かれていくプロセスがいささか性急に思えましたが、このあたりも後々しっかり回収されるのでスッキリです。

 

さて、本作の構成についてですが、二つの謎が物語の主軸となっています。

一つ、『なぜ神田幸久は成仏出来ないのか』

二つ、『なぜ襟仁遥人は自殺しようとしたのか』

一つ目の謎に対して、幸久は「あの時、遥人を救うことが出来なかったのが未練になっているのではないか」と考えます。そこで幸久は、遥人と似たような境遇に身を置く美咲を孤独から救い出すことで後悔を払拭できるのではないか?という思いから、美咲の学校生活(テストだったり、文化祭だったり......)を支えることを決めます。

この学校生活を送る中で徐々に二つ目の謎『なぜ遥人は自殺したのか』のディテールが開示されていき、事件の全容が次第に見えてくる仕組みです。

序盤のちょっとした仕草にも丁寧な伏線が張られており、それらを最後にきっちりと回収するので読後感も良好です。

 

しかし、とある登場人物がこの作品のメカニズムを成立させるためのキャラ付が強く、少し感情移入しにくかった部分もありました。(流石に論理破綻まではいきませんが)『物語のなかで生きている』という感じではなく、『構成のために動いている(存在している)』感覚……とでも言えば良いでしょうか。(上手く言えぬ……

まあ、所詮些末事です(笑)

 

自殺、いじめという重い要素を抱えながらも、終始爽やかな読み味で非常に読みやすい作品でした。

このあたりは作者さんの力量だと思います。

 

果たして幸久は成仏できるのか。

なぜ遥人は自殺しようとしたのか。

美咲は孤独から脱却できるのか。

 

そして、『リンドウ』とは何を指しているのかー。

 

是非とも自らの目で物語の結末を確かめてみてください。

良い作品でした。面白かったです。

足早になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

@またまた徹夜明け、目蓋をこすりながら。わさび