ほっじぽっじすてーしょん

広く浅い、多趣味野郎の時事録

片隅で感想文02:『変身』

こんにちは。

どうも、わさびです。

 

先日、『Project Itoh』と呼称される伊藤計劃作品映像化プロジェクト、その最終作となる

虐殺器官』がついに公開となりました。

これまでに映像化された2作品屍者の帝国『<harmony/>』ともに劇場へ足を運んだ身としては、是非とも虐殺器官も劇場で観たいものです。

特に『<harmony/>』は原作の雰囲気を損なうことなく、素晴らしい映像作品として完成していたので、俄然期待も高まっています虐殺器官は映像映えするシーンも満載ですし)

 

地元の映画館で上映することを確認し、いざ!映画館へ!

 

……とその前に

 

「せっかくなら、もう一度原作を読み深めてから観たほうが良いな!」

と思い立ち、『虐殺器官』を読み返しているところです。(そのうち感想文も書くかもしれません)

 

さて、この『虐殺器官』の作中で主人公のクラヴィスはヨーロッパの中央に位置するチェコ、その首都プラハを訪れます。

このプラハとある著名な作家の出身地として知られており、したがって本作でもその作家に関する話題が度々登場します。

 

その作家というのがフランツ・カフカ(1883〜1924年

代表作には『城』『審判』『変身』などがあります。

 

……そう、『変身』です。

ところで、今回の記事の主題はなんでしょうか?

 

そう、『変身』です(くどい

 

私自身、カフカの名前を聞いたことはあっても作品に触れたことは無かったため、これも本の縁ということで早速手を出してみた次第です。

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↑ちなみにこれは〇フカ

 

数あるカフカ作品の中で『変身』を選んだ理由は

 

・ページ数が少なく、読みやすそうだったから

・地元のツ◯ヤにおいてあったから  です。

 

うん、安直っ!

ということで、前置きがかなり長くなりましたがようやく本題です。

 

『変身』:フランツ・カフカ

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カフカ自身の顔写真を背景にしたオシャレな表紙

 

まずはあらすじから。

 

主人公グレーゴルは、ある朝眼を覚ますと自身が虫に変身していることに気が付いた。

思い通りに動かない体。家族から向けられる嫌悪。

なぜ虫になったのか。原因も究明されず、理由も分からないまま日々は過ぎ去っていく。

醜い虫になりさがった彼に訪れる『日常』の果てに待つものとはー。

 

とりあえず、あらすじを考えるのが難しい作品ですね。

冒頭部分から『主人公が虫になっていた』というインパクトのあるシーンから始まる本作ですが、以降ドラマチックなシーンは一切なく、淡々とした日常描写が続きます。

華やかさがなく、さりとて地味とは言えない設定の中で物語が進むのは不気味さすら感じます。

 

不気味さ、これがこの作品の持ち味の一つであることは疑いようが無いでしょう。

 

先述したように、冒頭部分で『主人公が虫になる』にも関わらず、この作品で描かれているのはあくまで『日常』です。

登場人物達は虫になってしまったグレーゴルを気味悪がるのですが、その現象自体に対しては一切疑問を抱きません

あくまでグレーゴルが虫になったという事実が横たわり、その中で彼らは日常を過ごしていく。

この『虫になる』というフィクションと『日常』というリアルの間の軋轢。そこから生まれてくる不協和音

怖いわけでも、楽しいわけでもなく、ただただ不気味。この一言以外で本作を表現するのは(少なくとも私にとっては)難しい。

あとは単純にグレーゴルの描写が気持ち悪いというのもあります。

グレーゴルが夢から目を覚ます冒頭部分。

 

たくさんの足が彼の目の前に頼りなげにぴくぴく動いていた

 

という一文からしてもう気持ちが悪い……。

私自身、虫が大嫌いというのももちろんなのですが、こういった描写が今作では多々登場します。(虫嫌いな人は注意)

虫になったグレーゴルという存在に対して、読者に嫌悪感を持たせる描写としては非常に優れていますね

 

さて、この作品が何を描いたものなのかー。

これには諸説あるようです。(所詮、巻末の解説知識でしかないのですが)

曰く、私的生活と職業生活の相克を描いている。

曰く、父子の対立を描いた家族物語である。

そのほかにも宗教的な見方公的生活と私的生活の相克など数々の解釈があるようですが、この辺りは考えても仕方がないのかもしれません。

 

私自身、浅学なもので小難しい捉え方は出来ないのですが、グレーゴルは『私自身』の投影に見えました。

 

正直、誰にでもオススメできる作品ではありません。

ですが読み終えた後、間違いなく読者の心に何らかの不気味な影を落とす作品だと思います。

その影がどのような形を成しているのか、それは読んだ人間にしか観測出来ません

 

何故なら、

この作品は読み手によってその内容を悉く『変身』させてしまうのですからー。

 

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

この記事の執筆中に劇場版虐殺器官も鑑賞できたので近々そちらも記事にしたいと思います。

 

@EGOIST『Welcome to the *fam』を聴きながら   わさび