ほっじぽっじすてーしょん

広く浅い、多趣味野郎の時事録

片隅で感想文14『宵山万華鏡』

 

前回の記事で完全燃焼したものの、灰の山から不死鳥の如く蘇りました。わさびです。

自分自身、放心状態がもう少し続くかと思ったのですが、思ったより早い更新となりました。

 ……と思ったのも束の間、まごついていたら既に前回の記事から2週間も経過していたという……(実はこの記事も10日前くらいからジワジワと書いてました)

 

そして今回読んだ作品は……

 

ついに森見作品です!

 

いつぞやの記事で崩す宣言をしておきながら、随分と長い間積みっぱなしになっていたわけですが。この度、ついに崩しました。

今回読んだのは

 

宵山万華鏡』

 

率直に言って、今までに読んだ森見作品の中でもトップクラスに面白かったです。

 

さて、前置きもそこそこに本題の方に参りましょー!

 

宵山万華鏡

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というわけで、前々から『読む読む詐欺』状態になっていた宵山万華鏡』です。

作者は森見登見彦先生。しつこいようですが念のため。

代表作は夜は短し歩けよ乙女『四畳半神話体系』有頂天家族などなど……

最近では『夜は短し~』の劇場版公開、『有頂天家族』の2期放映などが記憶に新しい、旬の作家さんです。

私が今までに読了済みの森見作品はコチラの記事にまとめてあります。参考程度に。

 

それでは、いつも通りあらすじから

 

 京の夏を彩る一大イベント祇園祭、その前夜祭『宵山』。

うだるような人々の熱気。

どこか懐かしく、幻想的な祭囃子。

提灯の明かりが照らし出す、薄ぼんやりとした夕闇。

現実感が希薄になる祭りの中で、不思議な事件が交錯する。

祭りに迷い込んでしまった姉妹。

宵山のご法度に触れてしまった青年。

繰り返す宵山に捉えられてしまった画廊主。

さながら万華鏡を覗いているかのように。

景色は流転し、『宵山』は様々な表情を魅せる。

 

 

 という感じ。

主人公達が宵山を舞台に繰り広げる不思議な事件を描いた短編集です。

 

それぞれの物語は繋がっている部分もあるので群像劇的な趣が強い印象。

読んだ感想ですが、

 

 「森見作品のエッセンスが全て味わえる作品!!」

 

この一言に尽きると思います。

 

物語の温度変化

本作を読んでいて一番「やられた!」と思ったのが、物語の温度変化です。

温度……というとなんだか分かりにくい気もしますが、それ以上にふさわしい言葉が見つかりません!すいません!!(雰囲気?とでも言えばいいのか)

 

一つ目の短編『宵山姉妹』を読んだ時の第一印象は、『きつねのはなし』だとか『夜行』読んだ時のものと近いものでした。

なんというか、

 

日の当たらない竹林の中でひんやりとした空気に身を浸しているような感触。

そして竹林の奥底に目を凝らすと、正体不明のナニかがそこで蠢いているような……

 

……上手い例え方が出来ないのが歯痒いのですが、『非日常の中に潜む不気味さ』を感じる作品だ、というのが第一印象でした。

 

さて、そうなると少しばかり読む姿勢を改めなければなりません。

なぜなら『夜は短し~』や『有頂天家族』のように、気軽に読み進めるタイプの作品ではないからです。物語の奥底に潜む『不気味なナニか』、そのディテールを出来る限り掴むため、私は必死に目を凝らさなければなりません。

 

知らず、万年床から起き上がり、椅子に座って居住まいを正す自分がいました。

 

そうして脳裏に浮かび上がる『京都在住の残念大学生像』をかき消し終え、次の短編宵山金魚』を読み進めていくと、そこに広がっていたのはー

 

 

 

なんと、軽快な森見ワールドだったのです!!

 

 

 

そう

 

 

軽快な森見ワールドが広がっていたのです!(大事な事なので2回ry)

 

 

いや、もう完全に意表を突かれました。

夜中に台所から不気味な物音がすることに気が付き、恐る恐る様子を見に行ってみたら家族が小腹を満たすために冷蔵庫を物色していただけだった。というくらい拍子抜け。(どんな例えだ)

 

 気が付けばあれだけピシッと座っていた姿勢は面影もなく、万年床に戻ってごろ寝しながら読んでいる始末。

 

「さっきの短編は悪い夢だったのではないだろうか?」と思えるほどに雰囲気がガラリと変わっていたのです。

不気味な雰囲気を纏っていた宵山姉妹』から一変したその作風から、この短編集をどのようなスタンスで読めば良いのか考えあぐねていると、次の短編が始まります。

その名も宵山劇場』。そこに広がっていたのはー

 

 

 

またもや軽快な森見ワールドでした!!

 

 

そうです!

 

 

軽快な(しつこいですねw

 

 

ここでようやく私は確信しました。

 

「一つ目の短編は、やはり悪い夢だったのだ……!」と。

 

宵山姉妹』は言うなれば、だらけきった態度で森見ワールドを堪能しようとしている私のような厚顔無恥な読者に対する牽制。軽いジャブ。

「俺の作品をあんまり舐めてかかると承知しねぇぞ?」

という森見先生からのメッセージだったのかもしれないな……と。

 

しかし、そうと分かってしまえばこちらのもの。もう恐れることなどありません。

私はすっかり安心モード。

みっともなく万年床に横たわり、ぼりぼりと腹を掻くわ、鼻クソをほじるわ……

というのは冗談ですが。冗談ですよ?(汚くてスイマセン)

 

すっかり油断しきっていた私は失念していたのです。

 

ジャブはあくまで牽制であり、ストレートを確実に打ち込むための布石に過ぎないのだという事を……

 

そうして迎えた4つ目の短編、宵山回廊』

 

いざ蓋を開けてみれば、飛び出して来たのは強烈なストレート。

予想の範疇外から正確無比に繰り出されたソレは、完全に油断しガードを下げていた私の顎に突き刺さりました。 

またもや雰囲気がガラリと変わり、祭の中に潜む『不気味なナニか』が顔をのぞかせてきたのです。

 

……もうなにがなにやら、言いたいことが分からなくなってきた感じがありますが。

とにかく、最初から最後まで森見先生の手の平の上で転がされているような感覚が付きまとう作品だったように思います。

 

「こんなことも出来るよ、ほらこんなことも……!」

 

そんな森見先生の声が聞こえてきそうなほど、あらゆるアプローチで描きだされる『宵山』という祭りの混沌。

 

『緩急の付け方が非常に巧い』

 

それ以上の言葉が出てこない。

 

ここまでに紹介した『宵山姉妹』、『宵山金魚』、『宵山劇場』、『宵山回廊』のほかに、あと2篇宵山迷宮』宵山万華鏡』がありますが、それらの短編がどんな温度の物語なのかはここでは語りません。

是非とも、自らの感性で体感してみてください。

 

ちなみに、私が一番好きなのは『宵山劇場』です。読んでいただければ「あっ、こいつ森見作品の中ではアレが好きなんだろうな」というのが分かるかもしれません(笑)

 

森見作品のエッセンス?

さて、私は感想文冒頭で「森見作品のエッセンスが全て味わえる!」なんてことを言いましたが、それに関してもう少し具体的に。

 

これはあくまで私個人の感覚ですが、基本的に森見作品の持ち味は三つ。

 

一つ目は『残念な登場人物』

二つ目は『日常に潜む非日常』

三つ目は『淡い恋模様』

 

……これだけ書くとなんだかライトノベルっぽい雰囲気がありますね。

「森見作品はライトノベルだ!」なんて言葉を時折耳にするのですが、それはここらへんに起因しているのかもしれません。

まあ、ライトノベルの定義論争ほど不毛なモノも無いので、本題に戻ります。(以前も書いたかもしれませんが「所詮レーベルの違いでしかない」というのが私の見解)

 

 

三つの要素がどのように組み合わさり物語を創っているのか、いくつか例を挙げてみましょう。

 

『残念な登場人物』+『淡い恋模様』=『恋文の技術』

そこにちょっとした怪奇要素(『日常の陰に潜む非日常』)を加えると、『夜は短し~』

そこから恋愛要素を薄め、怪奇要素を強めると有頂天家族

さらに怪奇要素をシリアスに煮詰めていくと『きつねのはなし』

 

ざっくりとした所感ではありますが、三つの要素の組み合わせ、その濃度の変化によって各作品のストーリーが成立しているのがなんとなく分かっていただけるかと思います。

ただ単に「三つの要素を味わいたい!」というなら、私は間違いなく『夜は短し~』だとか『四畳半~』を推すでしょう。分かりやすいですし、明るい話なので取っ付きやすい。

しかし、『森見作品のエッセンスを全て味わいたい!』というのであれば、その二作品では絶対に味わうことが出来ないのが『きつねのはなし』だとか『夜行』といった森見作品が持ち合わせるダークな雰囲気。

 

そんな『明るくポップな森見作品』『暗くシリアスな森見作品』という二律背反を、短編集という形式に落とし込むことで1つの作品としているのが、この宵山万華鏡』なのです。

 

断言します。

 

この作品には森見作品のエッセンスが全て詰まっている

 

私のようなド素人がこんな強い言葉を使って良いものか、些か疑問ではありますが(弱気)。それほどまでに、この作品の中には私が今まで読んだ森見作品から受け取ってきた感情の全てが詰まっていました。

もちろんそれだけ多くの要素が詰まっているわけですから、各要素の密度の高さは他作品に軍配が上がります。

しかし、一冊の中にぎゅっと凝縮された森見作品のエッセンスがキラキラと輝き、まさに万華鏡の如くころころと表情を変化させていく様は、その密度の低さを補って余りあるほどの魅力で溢れているのです。

 

 

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えー、今回の記事は久しぶりに難産でした(笑)

10日間近く「ああでもない、こうでもない」と頭を捻り続けていたような気がします。

体感では虐殺器官の記事と同じくらい悩んだ……かも。

 

「その割に大したこと書いてねぇじゃねぇか!!」とか言わない。いいね?

 

今現在、自分で読み直して頭を抱えている最中です。辛い。

まあ、チマチマ直す気力も無いので上げちゃいますが……。

ちなみに、ここを読んでいるということはこれを最後まで読んだって事ですよね?

 

読みにくくてスイマセン!Orz

 

最後まで読んで下さった方には、この場を借りて謝罪させていただきます。(途中でブラウザバックした奴は知らん!)

文体もフラフラしてるし、言いたいことも右往左往してるし……うぅ……。

 

とまあ、懺悔もコレくらいに。

今回読んだ宵山万華鏡』、オススメです。

『夜は短し~』、『有頂天家族』、『四畳半~』などの有名どころから、もう少し深い森見ワールドに踏み込みたいという方にはもっとオススメ

明るくほんわかしているだけが森見作品では無いということを体感できると思います。

あと、『夜は短し~』や『夜行』を読んだ方なら思わずニヤリとしてしまう要素が出てきます。物語に直接的なつながりがあるわけではありませんが、お楽しみ要素として一つ。(まさかあの登場人物が……

 

しかし、くれぐれも深入りしすぎないように。

あなたも『宵山』に、『鞍馬』に、『夜行』の世界に囚われてしまうかもしれませんから……

 

それでは、今回はこのあたりで。

実は森見作品はもう一冊太陽の塔も積んでいるので、次はそれを崩すかも。

予定は未定!次回も気ままに更新します!

 

―最後まで読んでいただき、ありがとうございました!ー

 

@ぶんしょううまくなりたい わさび

片隅で感想文13:『タマラセ』

はい、またまた登場。

わさびです。

 

3日間連続更新だと言ったな、アレは嘘だ!!

興がのったので、4日目の記事更新!

 

……この記事をあげたら猛烈な燃え尽き症候群に見舞われそうな予感がしますが、まあその時はその時。

 

今回取り扱うのは(超個人的名作)ライトノベル

『タマラセ 彼女はキュートな撲殺魔』

 

前置きもそこそこに、さっそく感想文にいってみましょう。

 

タマラセ 彼女はキュートな撲殺魔

 

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          ↑学生鞄に無造作に突っ込んでいたため、カバーにダメージが…… 

 

なんだかキル〇ルを思い出すオシャレなカラーリング。

今作は第9回角川スニーカー大賞『優秀賞』受賞作

作者である六塚光先生のデビュー作です。

 

 

……ん?第9回?(現在開催されているのは『第23回』)

 

 

そう、本作はかなり昔の作品です。

どのくらい昔かというと、

私が白球を追うことに青春の汗を流し、その一方でお小遣いの大半をPS2の中古ゲーム漁りに費やしていた時代の作品です。

ひたすらに2000円前後の中古ゲーをTSUT〇YAで漁り、デビルメイクライ『MGS』といった名作シリーズを知る一方でグランディア3』モンスターファーム5』といった世間一般でクソゲー迷作と呼ばれるゲーム達と触れ合っていた時代……。

いやぁ……懐かしい。

そのうちこのあたりのゲームレビューをしても面白いかもしれませんね。

まあ、いつもの言うだけならタダというやつですが。(笑)

 

閑話休題

 

というわけで、青春真っ盛りの時に読んだ作品ということもあり、強烈な思い出補正が掛かっています。この時期には灼眼のシャナだとか『イリーガル・テクニカ』などのライトノベルも読んでいたのですが、その中でも『タマラセ』夏休みの宿題だった読書感想文の題材に取り上げたこともある黒歴史思い出深い逸品。

今回、本棚で眠っているのが目に留まり、久しぶりに読んでみようかと思った次第です。

 

まさかこんなオッサンになってから再び感想文を書くことになるとは……!

 

多分に思い出補正が掛かっている恐れがありますので、そのあたりはご了承ください。

 

ではあらすじを。

 

 舞台は東北の平磐市。

この辺鄙な地方都市で、最近『撲殺魔による連続通り魔事件』が話題になっていた。

至って普通の高校生活を送っていた主人公・三鶴城大介(通称三介)は、

ひょんなことから通り魔事件に巻き込まれてしまう。

驚くべきことに、撲殺魔の正体は隣に引っ越してきた同級生の八阪井夏月!

彼女は『霊体を物質化し、武器とする事が出来る』タマラセと呼ばれる能力者で、

平磐市で謎の増加を続けるタマラセ覚醒者を止めるためにやってきたのだった。

夏月に協力を依頼され、三介はタマラセ達の闘いに身を投じていく―。

 

といった感じ。

まあ、よくある学園異能バトルものですね。

霊体をどうこうっていうと某奇妙な冒険のス〇ンドとか、シャー〇ンキングのオーバー〇ウルが脳裏を過りますが、タマラセはそれらを足して2で割った感じの異能です。

『一般人には見えない』とか『謎エネルギーを糧にする』といった鉄板設定も存在。

こういった『世間に知られていない異能モノ』における最大の壁は『世間一般からどのように秘匿されているのか』という部分だと思いますが、本作は

 

『なんか記憶を消せる秘術がある』

『ある状態の敵を殺害すると光となって消える』(ゴルディ〇ンハンマーじゃないです)

 

といった方法でクリア。

 

……うん、けっこう雑!!

 

しかし、コミカルな作風と(思い出補正が)相まってそこらへんはさほど気にはならない印象。

 

さて、久しぶりに読んだわけですが、

 

やっぱり面白い。

 

思い出補正を抜いてもかなりの良作です。

では『どんな部分が好きなのか』という事を具体的に言語化してみたいと思います。

 

等身大の世界観

前述の通り、学園異能バトルもの』は世に溢れています。

 

普通の学生がある日突然力に目覚めるパターン。

稀有な異能を持っていて、その異能の専門学校に行くパターン。

なにかの事件に巻き込まれるパターン……etc

 

誰もが経験してきた&主な購買層が所属する『学園生活』という現実的なテンプレートをベースにすることで分かりやすくし、『異能』という非現実的な要素を加えることでドラマチックな彩りを加えるというライトノベルでは鉄板のスタイルの一つです。

しかし、この『現実的な要素』『非現実的な要素』のバランスを取るというのは非常に難しく、一度崩れてしまうと一気に物語の魅力が削がれてしまいます。

ここらへんは個人の匙加減だと思いますが、1つ例を挙げると、私は基本的に『中高生が世界レベルの危機と闘う』とかが苦手です。

もちろん、それも話の展開次第、魅せ方次第ではあるのですが、

 

いかに異能があるとはいえ、中高生がどうこう出来る世界ってどうなのよ?

 

という気分になってしまうんですよね。あまりにも非現実感が強すぎる。

自分自身がよりリアル寄りのオッサンになっているから、という理由もあるのかもしれませんが、一気に創りもの臭さが出てきてしまう。

このバランスを上手くとる、または思い切ってぶっ壊してしまうことが出来ている作品は面白い作品が多いように思います。

今パッと思いついた作品でいえば前述の灼眼のシャナはバランスがしっかり取れている印象があります。思い切ってぶっ壊している作品としてはガールズ&パンツァーあたりが分かりやすいでしょうか。

 

さて、ここで本筋に戻りますが、

 

『タマラセ』はこのバランスがしっかり取れている作品

 

だと思いました。

 

話の舞台が非常にコンパクト。ローカルな世界で完結している

 

『タマラセ』はあくまで東北地方でしか発現しない能力という設定で、舞台は平磐市。

他所の国から超絶凄い能力者が何故かやってくるとか、世界レベルの異能が主人公に宿るわけでもない。

タマラセの能力自体も基本的に地味。発現中は身体能力が上がるという設定はありますが、武器の形態は金属バットやら竹槍やらガスマスクなどなど。超ド派手な雷が出たり、炎が出たりといったことはありません。

問題が起こるのはあくまで主人公のテリトリーの中。それを解決するために奔走する。

 

これですよ。この非現実でありながら、どこかリアリティのある空気感がとても良い。

 

事件に巻き込まれた程度の中高生が世界規模の大活躍をするなんて、あまりにも非現実がすぎるってものです。

これは完全に私見ですが、中高生なんて基本的には自分のテリトリーを守るので精一杯なんですよ。そんな自らの精神的な不安定さで一杯の両手に、さらに世界を抱えさせるなんて、いくらなんでも酷じゃないですか

 

話は少し脱線しますが、ある日突然エヴァに乗れと言われ、世界の命運を背負うことになったシンジ君はその思春期ならではの不安定さを抱えながら、恐ろしい使徒たちと戦うわけです。

思春期ならではの面倒なアレコレ。そんな描写に力を入れるくらいだったら主人公の身近な人間を一回危機に陥れて「大切な人を守るために、僕が世界を救ってみせる!」とか言わせた方が無難です。

しかし、あの作品はその面倒な描写から一切逃げなかった。

だからこそ妙な生々しさがあって、非現実的な世界観とのバランスが取れていて面白いんですよね。

 

 コメディ要素

……なんだか脱線しまくったような気がしますが、気を取り直して。

 

本作は割とコメディ要素が強い作品です。

これも一歩間違えると寒いだけの要素に成り下がってしまうのですが、

 

大丈夫、こんなオッサンでも普通に笑えます

 

なんでしょう、テンポが良いとでも言えばいいのか。

今回改めて読み直すまでは「流石にもう笑えないかもな~」なんて思っていたのですが、普通に面白かったです。

 

ギャグセンスがあの頃から一歩たりとも進歩していない。

 

という恐ろしい可能性も一瞬脳裏をよぎりましたが、気にしない方向で。

そういえばボー〇ボも未だに笑えるんだよな……

 

そして、忘れてはならないコメディ要素の恩恵、

 

『細かい部分にツッコむ気が失せる』

 

も十分に発揮されています。

これは極端な例ですが、で〇じゃらすじーさんを読んで

「こんな骨格の人間いねぇよ!」

なんて言う人は、そうそう居ませんよね?(居ないとは言い切れない)

これと同じで、コメディ要素は物語のディテールをある程度煙にまく効果があります。

なので、前述の『記憶を消す秘術が~』とか『死体が消える~』といった御都合主義バリバリの設定が差し込まれてもさほど違和感を覚えませんでした。

 

かと思いきや、「気軽に読めばいいや~」なんて気を抜いていると、突然説得力のある設定がぶち込まれたりするんですよね……。

このあたりの緩急の付け方も面白さに貢献しているのかもしれません。

 

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4日連続と銘打っておきながらまた日付を跨いでしまったので、今回はこのあたりで。

 

いつも通り感想文を書いてみましたが、流石にあの頃とは違うテイストの感想文になりました。

宿題の読書感想文の時は

 

力はそれ自体が悪いものでは無く、扱う人間次第で善にも悪にもなります。

もし、僕がそういった力を手にしたなら、自らの欲求に負けず、善の使い方が出来るようになりたいと思いました。

 

みたいなことを書いた記憶があります。あやふやです。

 

今回の感想文に至っては、作品自体の内容に触れている部分の方が圧倒的に少ない気がしますが……きっと、気のせいですね(白目)

 

『タマラセ』はシリーズ作として全6冊が刊行(1冊は短編集)されています。

amaz〇nでみたところ、電子書籍化もされているみたいなので気になった方は是非とも読んでみてください。

軽快なテンポで小気味の良い文体。気軽に読めるライトノベルの名作だと思います。

あまりに久しぶり過ぎて3巻が見当たらない、というのが少しばかり不安ですが、また続きも読み直したい作品ですね。

ライトノベルの形式上、巻数が進むほどにネタバレ要素が強くなっていくので感想文は書かないと思います。物語がどんな結末を迎えるのかはご自分の目でお確かめ下さい。

 

何はともあれ、これで3日間連続更新、改め4日間連続更新企画も終了です。

お付き合いいただきありがとうございました。

今は完全に燃え尽き症候群に陥っているので、記事更新はしばらく停滞するかもしれません。

また思い出した時に覗いていただければ幸いです。

 

それでは、4日間お付き合いいただきありがとうございました。

次回更新内容&時期は未定です。

 

-最後まで読んでいただき、ありがとうございました-

 

@懐かしさ爆発、わさび 

片隅で感想文12『いなくなれ、群青』

はい、三日続けてこんにちわ。

挨拶の言葉すら満足に思い浮かばないわさびです。

 

まあ、別にいいか……

 

えー、思い付きで『半日下道300kmソロツーリング』をしてきたため、

 

非常に疲れています!

 

大体7時間の行程だったのですが、昼飯兼おやつを食べるためにコンビニに数分立ち寄った以外、ずっと走りっぱなし。

去年、同じようなツーリングコースで走った時はちょこちょこ停車し、休憩がてら写真を撮ったりもしたのですが……

 

今回はそれも無し!!

 

「何故俺は目的もなく走っているのか」とか、なんだか哲学じみたことを考えながら、一人で黙々と走り続けたわけです。

 

つまり、何が言いたいのかというと

疲れているので記事の内容がいつも以上にグダグダになっても仕方ないよね!

記事更新頑張りマス☆

 

では、早速いってみましょー!!

 

いなくなれ、群青

 

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というわけで、予定通り今日は

 

『いなくなれ、群青』

 

の感想文を書いてみたいと思います。

作者は……今気付いたんですが、今期アニメのサクラダリセットと同じ河野裕先生です。

図らずも流行に乗る形になった……のでしょうか?(笑)

第8回大学読書人大賞受賞読書メーター読みたい本ランキング1位など貫禄は十分。

『階段島シリーズ』と題し、シリーズ作が現在までに4冊刊行されています。

ちなみに……次巻『その白さえ嘘だとしても』の発売当時に、本作と合わせて2冊一緒に購入した記憶があるので、積読状態の作品としては中々の熟成具合。

 

こいつはくせぇ―っ!!熟成された積読臭がプンプンするぜぇーッ!!

 

……言ってみたかっただけ。

はい、あらすじ

 

 捨てられた人々の島、階段島。

いつ、どうやって、なぜこの島に来たのか、知る者は誰もいない。

大きな事件もなく、穏やかな停滞に満たされたこの島で暮らす主人公・七草

ある日、幼馴染の真辺由宇と再会を果たす。

 

『この物語はどうしようもなく、彼女と出会った時から始まる』

 

どこまでも純粋で真っ直ぐな少女は、島からの脱出を目指し、『階段島』の謎を追う。

その果てに、残酷な真実が待ち受けているとも知らずに……

 

といった感じでしょうか。

 

ジャンルは帯通りに受け取るならば『青春ミステリ』

ただ、これをそのまま受け取っていいものか、少しばかり疑問が残る作品でもあります。

 

 

これ、どういうスタンスで読めばいいの?

読んでいる最中、コレを掴むのにだいぶ手間取ったように思います。

なんというか、どの程度ファンタジー要素が有りなのか掴みにくい

今作(シリーズ?)で重要なポイントなのですが、階段島は魔女が支配しています

 

そう、魔女です。

 

凄くファンタジーな単語が出てきたわけだし、ファンタジー要素有なのか!?というとそんなこともなく、作中で描写される世界観は基本的に現実世界に準拠しています。(要するに、魔法だとか不思議エネルギーだとかそういったものが『無さそう』)

 

「だからなに?」

 

と言われてしまうかもしれませんが、この『考える前提となる要素』が曖昧な作品を『ミステリ』としてカテゴライズしてしまっていいのかなぁ……というのが正直な感想です。

『現実に則った推理をした結果、真実はファンタジーだった!』

では釈然としませんよね。

 

こればかりは勝手な言い方かもしれませんが、私は『ミステリ』というジャンルは『読者vs作者の推理ゲーム』だと思っています。

 

読者は作者が配置したヒントから情報を読み取り、事件の全貌を解き明かしたら勝ち。

作者はあらゆるテクニックを用いて読者を翻弄し、事件の全貌を解かせなければ勝ち。

 

『勝ち』というのはあくまで説明上のものです。

実際は勝ち負けなんて無粋なものはありませんが、ゲームである以上そこにはルールが存在します。

例えば、『結末を導くために必須のヒントを提示しない』なんてことをされてしまえば、読者は絶対にゲームに勝てなくなってしまいますよね。

仮に『読者があらかじめ事件の全貌を知っている(ネタバレしている)』なんてことになったら、そもそもゲームにもなりません。作者が用意した技巧も台無しです。

 

お互いがフェアであるからこそ、ミステリは成立する。

 

これが、私という無知無知糞ド素人の持論です。

そうして『本作がフェアであるか?』と考えた時、少しばかり首を傾げたくなってしまったのです。それは何故か?

 

前述の通り、『考える前提となる要素』が曖昧だからです。

 

先程のゲームの例に当てはめるならば、

 

『作者が提示したカードの真偽が不明』

 

ゲームの大前提が崩壊しているのです。

もちろん、『多数のカードを組み合わせることで、それぞれのカードの真偽が確定する』というテクニックもあるでしょう。ですが本作ではそういった技巧も見受けられませんでした。(あくまでド素人が読んだ範囲では、ですが)

結局、私がこの作品を読む際の視点の置き方を理解したのはほぼ結末部分でした。言うなれば

 

『ゲームが終了してからプレイ方法が分かった』

 

という感じ。逆を言えば、

 

「本作でプレイ方法が分かったので次作以降はもっとフェアな状態で読める!」

 

という事かも?

 

……カテゴライズの話だけでかなり尺を割いてしまいましたが、こればかりはどうしても腑に落ちなかった部分です。

 

 

文体

「沈黙は詩的」

今作で一番心に残ったフレーズかもしれません。

言葉に含まれた意味も簡潔。私のようなミニマムチンパンジーブレインでも覚えやすい文字数で、非常にコンパクト。キレイで印象に残るセリフだと思います。

こんな感じ、といっても分かりにくいかもしれませんが、

 

言い回しが分かりやすく、キレイ。

 

その巧さは一転して高校生である主人公の非現実感を強めている部分もありますが、主人公の設定を鑑みると、それも程良いスパイスになっている。

 

基本的に読みやすい作品でした。

 

世界観

なんども触れている通り、本作は謎の島『階段島』を舞台にした作品です。

学校、食堂、郵便局......etc.

生活に必要なものは揃っており、大きな事件・事故も無い、至って平凡な島なのですが、

 

作品に満ちるこの息苦しさはなんだ?

 

主人公のどこか冷めた視点(微妙にニュアンスが違うけど『ヤレヤレ系』に近い?)、どこかに欠陥を持つ島の住人(友人)達、出ることが出来ないという無力感。

あらゆる要素が噛み合い、なんとも言えない息苦しさを醸し出してします。

あらすじで『穏やかな停滞』という言葉を使いましたが、必要なものは全てあるのに何かが足りないという歪さが独自の世界観を創り上げている。

 

暖かな鳥籠の中で外に思いを馳せるけれど、満ち足りているならココで良いじゃないか。

 

それは自由か、不自由か。

それは自然か、不自然か。

 

わりと心がモヤっとする話が好きな、私好みの世界観でした。

 

 

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日付変更も近づいてきたことですし、名残惜しい(建前)ですがこのあたりで。

書くことが無くなった(本音)わけじゃないぞ!!

 

一応『青春ミステリ』というカテゴリーらしいので、作品の詳細は書きません。

まだ読んでいない方には出来る限りフェアな状態で読んでいただきたいですしね。

プレイスタイルは最後まで掴みにくかったですが、伏線もしっかり回収しますし、物語の破綻もなく、読後感は良好です

 

次作『この白さえ嘘だとしても』も手元にある事ですし、近いうちに続きを読みます。また感想文を書くと思いますが、その時はまたお付き合いいただければ幸いです。

 

さて、これで3日間連続記事更新も達成したわけですが……

ん……?なんか一冊あるぞ……?

 

ー最後まで読んでいただき、ありがとうございましたー

 

@なんだかんだ日付跨いじゃったぜ☆ わさび