ほっじぽっじすてーしょん

広く浅い、多趣味野郎の時事録

夜の独り言

こんにちは。

リア充との隔絶された世界を痛感し、一人血の涙を流したわさびです。

 

普段交流しているのが趣味に生きる男達なので、あまり意識する機会が無いのですが、ふと冷静に自らを俯瞰してみると「このままで大丈夫なのかなぁ」という漠然とした焦燥感に駆られてしまいます。

 

昔、ある友人はこんなことを言っていました。

「人間は逃げ場を無くすために身を固める」

結婚は自らに『他者に対する責任』という枷を付けるための行為であり、その枷を付けるからこそ人々は辛い仕事と向き合い、いき苦しい社会の中で生きていくことが出来るのだ、と。

自分はどちらかというともっと楽観的な見方、例えば「好きだから結婚する」だとか「一緒にいて楽しいから結婚する」というシンプルでガキ丸出しな考え方しか出来なかったので、この言葉が痛いほどに刺さったのを覚えています。

もちろん、どちらが正解だとかそんな意味の無い議論をするつもりはありません。

純粋に好き合ったから結婚を選ぶ人も、自らに発破をかけるために好きな人と結婚を選ぶ人も居るでしょう。しかし、どちらにおいても『責任を負う』という結婚の本質は揺るがないのではないでしょうか。

そう考えると、私はそういった事柄から距離を置くことで逃げ道を用意し、責任を負う事を放棄しているのかもしれません。

 

「大人とは責任を負うことが出来る存在のことだ」

これもどこかで聞いた言葉です。

 

『責任』

 

それが大人の本質であるならば、放棄している自分は果たして本当の意味で大人になれているのだろうか。

結婚し、子供を作った同級生たち。彼らは大人になることが出来たのだろうか。

 

きっとこんな事は考えても仕方のない事で、明確な答えがある訳でもないでしょう。

それでも、こんな事を月曜日(すでに火曜日)の深夜に考えてしまうくらいに、今私の心に影を落としている難問なのです。

 

みなさんはどう思いますか。

 

@『大人』という言葉を使ってるうちはガキなんだろうなぁと思いながら、わさび

プラモデル製作01:『Ⅳ号戦車H型』

こんにちは

最近、けっこうなペースで記事を更新している気がするわさびです。

 

前回の記事は少しばかり内容がボリューミー(当社比)になってしまったので、今回は気分転換も兼ねてプラモデルに関しての記事を書きたいと思います。

 

まあ、プラモデル製作をしていると言っても完全にビギナー(昔ガンプラを素組み+墨入れしていた程度)なので、内容だとか仕上がりには期待しないでください……

 

あと、今回のキットを製作したのはおよそ一年前

 所々記憶が曖昧な部分は、想像でカバーしているのでご了承ください。(適当)

 

それではどうぞ。

 

 

Ⅳ号戦車H型

ハイ、というわけでプラモデル製作記事の一発目はガルパンでもお馴染み

ドイツ軍、Ⅳ号戦車H型(Panzer Kampfwagen Ⅳ Ausf,H)です。

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        ↑特徴的なシュルツェンに守られた車体がカッコイイ

 

まずはⅣ号戦車H型について少々。

 

ドイツ戦車部隊の主力として第二次世界大戦のほぼ全期間において使用されたⅣ号戦車。その中でも最も量産され、完成度の高さから最良のⅣ号戦車と呼ばれるのがこのH型です。

前身であるG型からの変更点は、主に

・車体前面装甲の強化

・対戦車機銃対策のシュルツェンを装備

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・変速機、履帯等足回りの改修

などなど。中でも、今回製作したH型は生産が開始された当初の<初期型>であり、足回りにG型の面影を残しています。

主砲は長砲身48口径7.5cm砲を装備。

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1943年の4月から生産が開始され、翌44年の7月まで、およそ3774輌が生産されました。

ちなみに、実はⅣ号H型が生産開始された頃にはすでに次期主力戦車であるⅤ号戦車(いわゆるパンターの生産が開始されていました。しかし、戦局が悪化する中、Ⅴ号戦車を戦線へと十分に配備するほどの余力がドイツ軍には残されておらず、結果としてⅣ号H型は第二次世界大戦中、主力戦車として長期間にわたり活躍することになったわけです。(以上、wiki&パッケージ知識)

 

パッケージでは3色迷彩が施されていますが、ビギナーにはハードルが非常に高い。そのうえエアブラシなんて買い揃える予算もない。ということで、今回は低予算で出来る筆塗り単色塗装で製作を行いました。

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プラモ製作にあたり、道具も一式買い揃えました。

使用した道具と塗料は以下の通り

・ニッパー

・デザインナイフ

・ヤスリ(五本セット)

・ピンセット

・プラモデル用接着剤

タミヤカラー アクリル塗料ミニ

         XF-1   フラットブラック

         XF-24 ダークグレイ

         XF-60 ダークイエロー

         XF-56 メタリックグレイ

タミヤ スミ入れ塗料 ダークブラウン

・Mr.HOBBY つや消しトップコート スプレー

・平筆 中サイズ 2本

・丸筆 細サイズ 1本

 

一式揃えて、金額的には7,000円くらい。これでも相当抑えたのですが、やはり初期投資はそれなりに掛かります。

もう少し金額を抑えるとしたら道具類ですかね……。

特に筆。私はなんとなくプラモデル用の筆を3本買ったのですが、これだけで1,500円。

中には100円ショップの筆を使った筆塗りをメインにしているプロモデラーさんもいらっしゃるみたいです。まさに弘法筆を選ばず。

ただ、あまり変なものを買って製作がしにくかったりするとモチベーションが著しく下がるので、ここら辺はしっかりと吟味したいところです。

ちなみに写真左側に写っているホビールーターは前から持ってたやつです。結局使ってません(笑)

 

まずはザックリと素組みしていきます。

今までプラモデルはガンプラがメインだったので、接着剤を使用した組み立てに四苦八苦。

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↑車体の組み立てが完了

筆塗りの性質上、適当に組むとシュルツェン周りなどに筆が届かなくなる可能性もあるので、頭の中でキッチリと製作手順をイメージしながら製作を進めます。

 

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↑ヘタクソな写真で分かりにくいかもしれませんが、砲身部分はパーティングライン(パーツの合わせ目)が目立ちやすい箇所なのでヤスリでうまいこと消していきます。

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 なんだかんだで砲塔も形になってきました。

 

いよいよ塗装です。今回はザックリと

・砲塔を含む車両本体

シュルツェン

・足回り(転輪、履帯)

・OVM(車外装備品)

に分けた状態で塗装し、後で組み立てて行きます。

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↑塗料皿を買う金なんてねぇ!ということで、手近なアルミ缶をジョキジョキと切って代用。 (気分はワクワクさんですよ、ええ。)

今回使用するのはアクリル塗料です。

塗装する際は基本的に下地にサフを吹いてから塗装するのが望ましいのですが、今回は手軽に塗装するというのも目標の一つなので下地なしで直塗り。更に、調色、混色も一切なしで塗装していきます。(予算カットの弊害)

アクリル塗料の強みは何と言っても取り回しの良さです。

ラッカー系は乾燥が早く、筆のムラも出にくいのですがシンナー臭が強く、換気に気をつけなければなりません。

エナメル系は塗料の伸びがよく色褪せしにくいとった特徴があるのですが、乾燥が遅い、プラスチックを痛めやすいなどの短所があります。

さらに、ラッカー系、エナメル系共に希釈・筆の洗浄のために溶剤を別途用意する必要があり、塗装にも手入れにも手間が掛かります。

アクリル塗料は基本的に希釈も筆の洗浄も水さえあれば大丈夫です。非常に簡単。最高。

普通の絵の具のように使うことが出来るので初心者に優しい塗料なのです。

塗膜が弱いとか筆ムラが出やすいとかいうのは秘密だゾ!

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車体の基本色は基本色はダークグレイを使用。

若干暗めの色なので、もう少し明るいグレーでも良かったかも……。

アクリル塗料を水で希釈してプラスチックに直塗りするため、一回では綺麗に塗料が乗りません。なので塗ったら乾かし、もう一度重ねて塗る......という手順を満足のいく色合いになるまで繰り返します。(あまり塗料を重ねすぎるとモールドのディテールがモッサリしてしまうので注意)

さて、こんな調子で車体、砲塔、シュルツェン......と塗っていくのですが…

 

 

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転輪がマジで辛い!吐きそう!

 

こんなに小さいパーツが左右合わせて16個!

しかもゴム部分を塗り分けないといけない!

前述の通り重ね塗りもしないといけない!(重ねる回数分手間がかかる!)

この記事を製作している段階で4輌のキットを製作しているのですが、どのキットでも転輪だけはホントに苦行

転輪塗り分け用のテンプレートもあるみたいなので購入も視野に入れていきたいところです……。

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↑悟りを開きそうになりながら、転輪も塗り終わり。

今回、ゴム部分はフラットブラックで塗っています。

 

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↑細々としたOVMも、しっかり塗り分け。

予備履帯はフラットブラック、それ以外の金属部分はメタリックグレイ、残りをダークブラウンで簡単に塗装します。

肝心の写真を撮り忘れていたのですが、履帯はスミ入れ塗料を平筆で豪快に塗りたくっただけです。アクリル塗料は使用していません。ただ、墨入れ塗料はエナメル系なので筆の取り扱いには注意。

 

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↑こうして大体の塗装が完了。(写真ではOVMのダークイエロー部が未塗装)

 

ついに各パーツを接着していきます。

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おぉ……!カッコいい……!

徐々に完成系が見えてきました。モチベーションもウナギ上りです。

 

必要なら、ここでデカールを貼ります。

マークセッターなどのデカール貼り付けの補助的な接着剤、軟化剤があると便利なのですが、今回は使用せず。(予算のry)

デカールを貼り付けた後は弱い塗膜を保護し、塗面のムラを落ち着かせるために、ここで一回トップコートを吹き付けます。かけすぎると白っぽいテカリが付いたり、モールドがモッサリしてしまったりするので遠くからフワッとかける程度に。

デカールトップコートの工程の写真?

撮り忘れたんだよ!!(いやぁ、スイマセーン♂)

 

トップコートを吹いたら次はウォッシング

ウォッシングすることによって、モールドの凹凸にメリハリが付いて立体感が出ると共に、塗面の色合いを落ち着かせることが出来ます。また、ウェザリング(リアリティを出すために車両の汚れ、キズなどを再現する技法)の効果も得られるので、手軽に効果を出す事が出来る技法の一つです。

今回使用するのはスミ入れ塗料(ダークブラウン)

瓶の中で塗料が沈殿しているので、使う場所によって撹拌する濃度を変えるのもポイント。基本的に入り組んだ部分=汚れが溜まりやすい部分なので、そういった部分を塗装するときはしっかり撹拌し、車体上面など比較的汚れが溜まりにくい場所上澄みを使うとメリハリが付いて良い感じになります。

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また、ウォッシングする方向を意識することで雨だれ(雨が垂れることによって筋のように付く汚れ)も表現できます。写真だとシュルツェン部をウォッシングするときに上から下へ筆を動かすことによって雨だれを再現しています。

 

ウォッシング後。

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一辺倒な色味から立体感が生まれ、だいぶ引き締まった印象になりました。

 

次はドライブラシによって、より立体感を強調していきます。

ドライブラシは筆に付いた余分な塗料をティッシュペーパーなどで拭い、必要最低限の塗料をモールドの凸部に置いていく技法です。

基本的には基本色よりも明るい色を用いて行うのが一般的。

今回はメタリックグレイを用いた銀ブラシで塗装の剥げを表現しました。

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塗装が剥げたところから金属色が見えることで見た目の金属感、重厚感がアップ。

仕上げにもう一度トップコートを吹いて完成!

 

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初めてという事もあり、慎重にちまちまと作っていたので、製作期間はほぼ一ヶ月

シュルツェン周りの銀ブラシが冗長的になってしまった感じはありますが、初作品にしては……結構……良いんじゃないかな?自画自賛

じっくり作っただけあって、愛着もひとしおです。

 

今回は『月刊Armour Modelling 2016年1月号』を参考にして製作しました。(内容もほぼ受け売りですw)

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基本的なテクニックが一通り記載されているので、私のような初心者には非常にありがたい一冊です。今さら手に入るのかは微妙なところですが、初心者必見。

 

 

……というわけで、初めてのプラモデル記事だったわけですが、

 

全然気分転換になってない(結局4000字近いボリューム)

 

まあ、写真とかもいっぱい使えたのでブログっぽい記事にはなったかなぁ……と言う感じです。少しでも暇つぶしになったのなら幸いです。

プラモデル製作のストックはまだいくつかあるので、それらも気が向いたら記事にしたいと思います。

 

それでは。

最後まで読んでいただきありがとうございました

 

@WoTをプレイしながら わさび

 

 

 

片隅で感想文07:『メタルギア・ソリッド4』

こんにちは。

個体データ100%になったのも束の間、ポッド強化マラソンに勤しむわさびです。

 

なんとなく、原盤マラソンで小ロンドを駆け巡ったあの頃を思い出しながら、

「ああ、進歩してねぇなぁ~!」

と痛感している最中です。

某魔術師殺しの「人類の本質は石器時代から一歩たりとも進歩しちゃいない!」という言葉も納得!!(テキトー

 

全部の要素を埋めて、すぐに恩返しに行くからな!待ってろ!(エ〇ワード的なノリ)

 

……さて、今回は小説作品の感想文になります。

 

タイトルを見ただけでは「え、それゲームだろ?」と思われるかもしれませんが、実は今作はノベライズされており、今回はそちらの感想文になります。

 

ちなみに、私自身メタルギアシリーズ作品はそこそこプレイ済みです

↓プレイ済み作品↓

MGS1、MGS2、MGS2SS、MGS3、MGS3SS、MGS4、MGS5GZ、MGS5、MGSPO、MGSPW(途中まで)、MGA2、MGR

メタルギア1、2はMGS3SSに同梱されていたのですが未プレイ。

 

なのでシリーズプレイヤーとしての視点からも今作を見ていきたいと思います。

 

では、さっそく本題!

 

片隅で感想文07『メタルギアソリッド4

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正しいタイトルはメタルギア ソリッド ガンズオブ ザ パトリオット

表記上の関係から記事タイトルを『メタルギアソリッド4』としています。

本作は以前の記事でも取り上げた虐殺器官の著者、伊藤計劃氏が短い作家人生の中で書き上げた長編3作品のうちの1つです。(虐殺器官メタルギア・ソリッド4、ハーモニー。屍者の帝国の冒頭部を執筆し逝去。)

氏はMGSシリーズの生みの親である小島秀夫監督の20年来のファンであり、自らを「小島原理主義者」と呼称するほどの傾倒ぶりでした。

98年の東京ゲームショウからお二人の交流は始まり(といっても、当初は小島監督のポリシーから、伊藤氏から小島監督への一方通行的な交流だったそうですが)、その縁もあって今回のノベライズへと繋がったそうです。

 

……これを聞いただけで「絶対におかしなノベライズにはならない」という安心感が湧いてくるのは私だけでしょうか。

それだけ熱心なファンが物語る『メタルギア』という物語が、別物へと変化していることなど到底ありえないだろうという安心感。

そして、ある意味では盲信的とも言えるこの安心感が間違いでなかったことを、本作を読み終えた私は知っています。

 

前置きが長くなりました。

いつも通り、まずはあらすじから。

 

暗号名、ソリッド・スネーク

数多の作戦で核搭載二足歩行兵器メタルギアを破壊し、

世界を救い続けてきた伝説の男。

ある男のクローン体である彼の肉体は、度重なる戦いの中で摩耗し、

急激な老化現象に苛まれていた。

そんな中、彼の元にとある知らせが届く。

兄弟であり、宿敵でもあるリキッドの武装蜂起ー

自らの因縁にケリをつけるため、そしてその呪われた血脈を絶つために。

ナノマシンとネットワークに徹底管理され、単なる経済活動と化した戦場へ

スネークは最後の任務ーリキッドの暗殺ーに赴く。

 

本作のジャンルは「近未来SFミリタリー」とでも言えば良いでしょうか。

メタルギアと呼ばれる核兵器搭載が可能な二足歩行戦車の技術開発によるパラダイムシフトによって、核兵器の脅威がより顕著になった世界を舞台にしています。

また、メタルギアに関する技術はもちろんの事、現実世界と比較して技術水準が高い世界観になっており、そういった設定がゲーム内で活かされている部分も多々あります。(敵から発見されなくなる光学式のステルス迷彩など、シリーズ恒例の『お遊び要素』にも色濃く反映されている)

本作ではナノマシン技術それを統御するネットワーク技術の発展PMC(Private Military Company、俗にいう民間軍事会社の台頭によって戦争という行為が徹底管理され、純粋な経済活動に成り果てています。それはすなわち戦場で戦う人々からイデオロギー、信仰心、愛国心(これはある意味信仰といっても良いかもしれませんが)といったモノが消失したことを意味します。

 ゲーム冒頭でスネークは

「戦争は変わった」

という一言を発しますが、この一言の中には変化に付いていけない自らの老いへの嘆きと、「戦い」というプリミティブな行為から個々人の主体性が失われたことに対する嘆きが込められているような気がしてなりません。

さて、本作ではこのナノマシン制御ネットワーク『Sons Of the Patriot(愛国者の息子たち)』通称SOPが物語の重要なファクターを担います。

このSOPは兵士たちの体内に注入されたナノマシン群であり、ID管理された銃の認証、兵士間の情報共有、兵士の感情抑制など、戦場での役割は多岐に渡ります。それにしても、愛国心を持たない兵士が『愛国者の息子たち』とは、なんとも皮肉なものです。

この中でも、兵士の感情抑制に関して言えば虐殺器官でも描かれていた要素です。もっとも、あちらの感情マスキングは心理学的なセラピーによって行われるモノですが。

こういった未来観が相似している部分からも、小島監督伊藤計劃氏は同様の『未来の戦場』を見据えていることが伺えます。

2つの作品で違う部分があるとすれば、MGS4テクノロジーによるアプローチで人を制御するのに対して、虐殺器官では人間に元来備わったモジュールによって制御する、という部分でしょうか。

伊藤計劃氏は『エクストラポレーション礼賛』と題したコラムをMETAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTYの限定版ブックレットに寄稿しているのですが(こちらに原文が掲載されています)、このコラムの言葉をお借りするならば、お二人は

「未来の戦場はどうなる?」

という仮定に対して

「兵士たちの感情制御が必須となる」

という同じ第二の過程を導き出したわけです。

しかし、その次に生まれる第三の仮定が決定的に違った。「そうか、そうだったのか~!」という目からウロコの部分が違ったのです。

こういった部分からも、世界思考の源流を小島監督から受け取り、そこから枝分かれした流れとして確立した『伊藤計劃』という作家の存在を感じます。

 

話がずれましたね。

 

作品そのものの感想に戻りましょう。

端的に言って、本作は素晴らしいノベライズ作品です

当然といえば当然なのかもしれません。前述の通り、伊藤計劃氏は小島監督から枝分かれした支流(と書くとなんだか語弊がある気がしますが)なのですから。

もちろん、源流から分かれた支流は独自の流れ、方向性を作ることもあるでしょう。

しかし、その中を流れる思想、ミームは源流と同じものです。伊藤計劃氏はそれを自覚していた。だからこそ、メタルギアという作品の本質を外すことなく描ききることが出来たのだと思います。

 

……私はこれと逆の経過を辿っている作品を知っています。

源流から分かれたのではなく、源流に数多の支流が流れ込むことで大きな本流となった作品を。

今と比べれば決して大きくは無かった、しかし、それでいて他の流れには無い魅力に満ち溢れていた力強い源流。

次第に源流は別の川と合流し、徐々に大きくなっていきました。

しかし、他の川と合流する中で様々な要素が混ざり合い、かつて源流に満ち満ちていたはずの魅力を、私は見つけ出すことが出来なくなってしまいました。

もちろん、これを単純な良し悪しで語ることは出来ないと思います。

あくまで『私が』今の大きくなった本流から魅力を探し出すことが出来なくなっただけの話なのです。あえて良し悪しで語るならば『私にとっては悪い出来事だった』というだけのことなのでしょう。

多くの要素が混ざり合ったということは、それだけ多くの人を引き付ける魅力を備えたということでもあります。だから、きっと作品そのものにとっては大きな流れになるのは福音に違いない。

ですが、その流れから取り残されたと感じた時、私の胸をどうしようもない物悲しさが満たすのです。

 

……また話が逸れてしまいましたね。

話の腰を折ってしまい申し訳ありません。

 

先程、私は伊藤計劃氏はメタルギアの本質を外すことなく描ききったと言いましたが、それだけではありません。氏はどこまでも『真摯なファン』でした。

それがノベライズであれ、書き手になるということはその作品世界において神になること同義です。傲慢に言ってしまえば、物語を自らの手の平の上で転がすことが出来る存在。自らの源流となっている作品、それを意のままに出来るという優越感は計り知れない魅力に満ち溢れています。物語の中で自分を誇示することも、登場人物を自分の代弁者に仕立て上げることも全てが思いのまま。しかし、氏は徹底的なまでにこの『自分』を殺したノベライズを手がけました。

本作のあとがきで自身がおっしゃっているように、伊藤氏は「物語とは誰かの語り口で語られるべきもの」と考えています。物語は誰かの主観で語られるべきであって、第三者(神=作者とでもしておきましょうか)による無機質な俯瞰によって描かれるべきではない。その考えに則った結果、氏は登場人物であるスネークの親友であり戦友でもあるオタコンの主観で物語を語るという手法を選びます。

これはすなわち、オタコンになりきる必要があるということを意味します。

何故なら、オタコンの主観に一片でも伊藤計劃を感じさせる要素を入れ込んでしまえば、それはすでにオタコンではなく、伊藤計劃自身の視点にすり替わってしまうからです。それは氏が苦手とする第三者による物語の俯瞰に他ならない

一体、どれだけ大変な作業だったのでしょう。徹底的なまでに自らを殺したうえで、オタコンという登場人物をトレースし、エミュレートする。さながら作中で〇〇〇〇になりきった〇〇〇〇のように、作家として死に等しい決断

氏は完璧なまでにそれをやり遂げました。本作を読んでいる中で、物語の背景に伊藤計劃』そのものを感じる事はほぼ無かったと言って良いでしょう。自らの傲慢で世界を壊すことを是とせず、ノベライズと言う形式においても小島監督メタルギア』を守り続けた。それほどまでに氏はこのメタルギアという作品を、世界を愛していた

小島監督がザ・ボスであり、全ての始まりゼロであるならば、伊藤計劃氏はオセロットであり、オタコンそのものだったのだと私は思います。

 

ーかつて、これほどまでに恵まれたノベライズ作品があったでしょうか。

少なくとも、私はこれ以上の『ノベライズ』に出会ったことがありません。

およそ500ページという、一般小説としては多くてもメタルギアの世界観を語るにはあまりに少ないページ数の中に濃縮されたメタルギアサーガのエッセンス

映像と言葉で表現せざるをえないゲームでは表現しにくい登場人物の内面描写

どれも伊藤計劃氏が『真摯で熱狂的なファン』だったからこそ可能だった奇跡の数々。

それを受け取り、感動を得ることが出来る私たち読者はどれだけ幸運なのだろうか

 

いつも通りと言えばいつも通りなのですが、作品の内容、その詳細についてはあえてここでは触れません。

何故なら、それは『あなた』が『彼』から受け取るべき物語であり、私が語るべきものではないからです。(決して詳細を書くのがめんどくさいからじゃないゾ!)

 

これはとある伝説の終わりを告げる物語。

生まれながらにして宿命を背負った男の結末。

伝説の語り部となった『彼』はその果てに何を想うのかー。

 

メタルギアシリーズに触れたことが無い人でも、メタルギアの世界を堪能できる一冊になっていると思います。オススメ!

 

ー最後まで読んでいただき、ありがとうございました。ー

 

@MGR、MGS4をプレイし直そうかな~と思いつつ、わさび